顧客から電話で注文が入ると両手で「T」のサインが作られた。NTT株が上場した1987年2月9日、サインを見た大和証券の方ですよね、個別の名前書いてますんで今回は省いておきましょう。
「売り」と「買い」を組み合わせる。立会会員に向かってすかさず大声で買い注文を叫んだ。
日経新聞
バブルの時の記憶
コラムでも懐かしい昔のニュース映像をご覧になって覚えておられる方いますかね?
バブルの時って、あの当時は取引所、要は今システムなんですけど、システムで「売り」と「買い」があっていうのがあって。
売り注文、買い注文、これぐらいの株数がそれぞれにあるという板の上で管理というか、要はオンラインでやってるんですけど、昔は人と人とでやってた時期がありますよね。
バブルの時もまだやってました、一部。
体育館のような…
これが体育館みたいなところ、人がたくさんいて、机というかカウンターがあって、その中に才取(さいとり)会員という人たちがいました。
才取会員というのは注文を受ける側ですよね。
それと発注する側は一般の証券会社ですよね。これに分かれてて、手でサインみたいなのを作ってこう、売り買いをやってたんです。
これ昔のバブルの時ぐらいの映像を見てわかるんですけど、まず各証券会社ですよね、支店とか本社から注文が取引所の、例えばN村証券ぐらいにしておきましょうか。
N村証券の各支店とか本店注文がその東京証券取引所のN村のブースに…
東証って言いますよ、これから東証のN村の人たちが詰めてるところに注文が入るわけですよ。
例えばトヨタ10万株買いとかっていうのが入ると電話を受けます。N村証券の社員がいたら電話を受けてこのフロアにいるN村証券にトヨタ10万株買い。
叫んでも聞こえないので手信号みたいな感じで送るわけですよ。トヨタなら確か、僕は手振りとかやったことないんで聞いたことがあるのは次のようなものです。
カタカナのトって書いてハンドルを握ったような形でこうジェスチャーをするわけですよ。
そしたらこれトヨタ自動車っていうのがわかるらしいんですけど、10万てこう指で作るわけですよね。
「買い」なんで自分に向かってこう送るのかな。マンはどうやるのかな、マンはちょっとわからないんですけど。
10万株ですよね、買い。そうするとこれを見たフロアにいる、カウンターフロアのカウンターの前にいる島。島って言いますけど、島の前にいるN村の社員が東証の才取会員っていう人たちがいて、そこに例えば10万株「自分たちが買いたい」とわーわー大声叫びながらやるわけですよ。バブルの時の映像を見ていただいてらわかるんですけど、これが昔ありました。
東証公式の映像を貼り付けておきますね。
https://youtu.be/TBe6o8PehDg?si=o3QcgCy2CJcfdf4_&t=499
ただ僕はまだ証券会社に最初入った時この制度ありましたけど、自分は手振りともう一部オンライン化されてたんですけど、手振り銘柄はちょっとやりにくかったかな、自分たちからすると。
兵隊のような営業
我々は何やっているかっていうと営業ですから、もういわゆる兵隊ですよね、兵隊。
個人向けの営業で「飛び込み」とかやっていましたから。
注文を売りとか買いをお客さんから受けて、我々は視点とかの端末で発注をかける側だったんですけど。
手振りの銘柄の注文はちょっと気配が見えなかったんでやりにくかったって言うのはあります。気配なかったんでこの手振りの銘柄に限ってはですよ。
気配というのは「売り気配」「買い気配」それぞれの株数なんかのことです。
2000人の熱気
日経のコラムによりますと、この時取引開始からもう2000人ぐらいの人がいて、そんな中でやってたと。
でも人混みの中でやるんで、証券会社でやっぱりこれ向けの社員を出さないといけない。
このコラムにはバスケボーの背がデカい人を当てがってたというか担当者にしてたとか、そういうの書いてますよね。
ワイシャツがすぐ痛むため当時は会社からワイシャツを支給されてましたみたいなことも書いてます。
他にもエピソードが載ってます。
サイコロステーキが生まれたのもこの兜町だと。
昔の証券取引所、兜町で前場と後場の間にちょっと残業整理をしてすぐご飯を食べてまた復帰みたいな感じです。
この頃はね、前場と後場があって確か9時~11時、昼休みを挟んで13時~15時だったような…
ちょっと間違ってたらすいません今はちなみに11時半か 11時半9時11時半12時半15時かなこれでやってるかな
この時からニューヨークはぶっ通しでやってたんですよ。
よくぶっ通しできるなぁと思っていました。
我々は取引が停止している11時~13時、この2時間の間にお客さんと行くわけですよ。
我々営業部隊、兵隊はここで受け渡しですよ。
数百万円とか集金したり、「株券を預かっています」という意味の証券会社発行の預かり書っていうのがあって、これを渡してました。
株を売却した時は預かり所を回収して、売却代金を振り込んだり…
徐々に月次報告書とかに置き換わっていったんですが、最初のうちはこういうのがありました。
〇〇株何千株っていうのは当時だいたい1000株単位だったんで、 今や単元株っていうと100株ですよ。
兜町も今や一変してるのかな?
証券取引所の建物は様変わりして、システムと電光掲示板になってますけどね。
兜町界隈も昔はもう証券会社だらけでウナギ屋とかあって、ウナギ屋も連れて行ってもらいました。
これはまだ学生で面接とか受けていた時ですけど、今でも覚えていますね。
長らく兜町には行ってないですけど、ウナギ屋とかそういうのは今やもう少なくなってきてるのかな?
あと、兜町の証券会社が以前ほど軒を連ねているという感じではなくなってきているということですよね?
それにしても手振りに話を戻します。
手で銘柄や株数を示す信号を出すことを「手振り」とかって言います。
今や アメリカの特にオンラインを駆使した1秒間に何百回と取引するようなやり方があります。
これは映画「ハミングバードプロジェクト」とか本で言うと「 フラッシュボーイズ:マイケル・ルイス著」です。
マイケルルイス氏はマネーボール、マネーショートも原作ですね。どちらも面白いので機会があればご覧くださいね。
注文が出たら先回りして買われるとかっていうこういうやつです。
これはなるべく取引所のコンピューターの近くに自分たちのコンピューターが置いて距離が短い方が早くなる可能性が高いです。
0.001秒単位の競争ですからアメリカでは特にデータが売られてますね。
データというのは注文内容とかそういうことですけど 買った業者が早く先回りして例えば買いに行けますよね1万株とかって買いに行った
そのデータが一瞬早く自分たちのところに回ってきて 先回りできるというそういうのがありますから
それにしてもこの手サインでやってたのどかな時代がある その頃ねアメリカの外資の証券会社が裁定取引(アービトラージ)とかがやりだして
これは先ほど導入以降なんでね89年ぐらいかな日経先物導入されてからのお話なんで その当時はね日本の証券会社の人たちは何をやってるのかよくわからなかったみたいなお話があるんですよね。
先物買って現物売ってみたいなそういうお話でこの価格差を利用して、薄く利益を上げて いくわけですよ。
これを裁定取引アービトラージとかって言ったりします。
最初、アメリカの 証券会社がやり出した時に「何をやっているの?」っていうのはあったようです。
もちろん、今では裁定取引とかインデックスの売買とかはみんな理解してますけど手振りののどかな時代と日経先物と HFTの取引とかは異次元の感じですね。
そういう取引と先回りして買うとかね、0.1秒も千分の1秒どころじゃないですよ。
もっともっと早くかなっていうようなこの近差の戦いと今は変わってるんで。
もしよかったらフラッシュボーイズハーミングバードプロジェクトとかで探してもらったら 出てくるかもしれないですよ。